男に異存はない。包茎の話。

お薦めしたい2つの性教育本

2017年8月27日

本当のことを知っておこう

 男子であろうと女子であろうと、「包茎」とペニスのことは、若いうちに真面目に学んだ方がいい。男子にとっては身の上のことなのだから、知っておかないと後でとんでもないことになったりする。知っていて損か得かの話ではない。必ず知らなければならないのだ。
 世の中にはとてつもなく膨大に、「包茎」とペニスについての下世話、風変わりな言説、ジョーク、噂、都市伝説が溢れかえっている。もともとの知識がある者にはそれらは面白く有益な教養になるが、何も知らずにそれらに触れていると、実際とは違うことの区別が付かず、不安に思ったり勘違いしたままになることが多々ある。かえって有害になりかねない。大人は自らの思春期以後の経験により、「包茎」とペニスの「本当のこと」を知っていると思い込んでいるかも知れない。私はその一つ一つを、できれば面白可笑しく、掘り起こしていきたいと考える。実際に私はこれを機会に様々な書籍を読んでみたが、「包茎」とペニスのことについて、知らなかったことの方が多かったくらいである。
 
 しかし、いずれにしても、そうした世の中の「包茎」とペニスにまつわるさまざまな言説を味わう前に、しっかりとした知識=「本当のこと」を身につけておくべきだ。
 これまで数回、雑駁としたエッセイを書き綴ってしまって少々遅かりし点もあるが、単刀直入に、思春期の男子にお勧めしたい本を紹介しておく。もちろん、読むべき対象は男子に限らず女子でもいい。今まで知らずに来てしまった男女の大人こそ読むべきかも知れない。ともかく、以下に挙げた2つの本は、思春期に差し掛かった男女が知っておかなければならない性に関する知識が、豊富に詰まっている。本当に、豊富に。
 

どちらか一冊でも充分

 私がお薦めしたい性教育本のまず一つは、河野美代子著『新版 SEX & our BODY 10代の性とからだの常識』(NHK出版)。実はこの本について、私は4年前に拙著ブログ[Utaro Notes]で既に紹介している(「性教育本の名著を伝える〈二〉―SEX & our BODY」参照)。イラストや図解が多く、10代の学生が読むのにやさしく、親切で、分かり易い。そしてことこまかに、セックスのこと、避妊のこと、性器のことが書かれている。逆に、親が子供に知っておいて欲しいと思う性のことは、おそらくこれ一冊で充分だろう。本の入手は比較的楽だが、再販の可能性が今後なさそうなことも考慮して、今のうちに購入することをお勧めする(性教育本関連では概ね再版の可能性が少ない)。『新版 SEX & our BODY 10代の性とからだの常識』は親が買って本棚にそっと置いておくのが良さそうだ。学生はこういう本を進んで買おうとは思わないだろうし、また気持ち的に買いづらい面もあるだろうから――。
 
 もう一つの本は、『マンガでわかる オトコの子の「性」 思春期男子へ13のレッスン』(染矢明日香著、村瀬幸浩監修、みすこそ画、合同出版)。この本は「包茎」やペニスのこと以外に、思春期の女子の体に起こることやLGBT、セックスや避妊、性感染症などのこともマンガで分かり易く解説している。13のレッスンの各項目を以下、列挙してみた。とどのつまり、これがこの本の内容なのだ。
 

Lesson 1 大人に近づく体と心
Lesson 2 だれにも言えないぼくたちの悩み
Lesson 3 マスターベーションって悪いこと?
Lesson 4 知っているようで知らない女の子の体
Lesson 5 人を好きになるってどういうこと?
Lesson 6 恋愛と性別のさまざまなかたち
Lesson 7 好きだからセックスしたい!
Lesson 8 将来のために知っておきたい避妊のこと
Lesson 9 それってホント? 性のリアルとファンタジー
Lesson 10 もし困ったら? 性器のトラブルの対処法と予防法
Lesson 11 なんで自分を傷つけるの?
Lesson 12 どうする? スマホ・ネットとのおつき合い
Lesson 13 絶対にダメ! 性暴力
(『マンガでわかる オトコの子の「性」 思春期男子へ13のレッスン』より引用)

 
 マンガだといって馬鹿にしてはならない。『マンガでわかる オトコの子の「性」 思春期男子へ13のレッスン』は、コラムなどを含めると、ヘタな性教育本より遥かに読み応えがあり、知っておくべき有用な情報が得られ、男女の性の相互理解のためのメッセンジャー&アシスト本となっている。どんなに読書が苦手な男子でも、性については常識的に知っておかないとまずい。なので、時間をかけてでも読んでもらいたい本である。この本だけでも、ほとんどの性の悩みは解決するだろうし、男女の体に起こる生理を知っているのと知っていないのとでは、将来の実生活を踏まえる意味で、大きな違いが出てくるだろう。
 

「包茎」の本当のことを知る

 こうした本を読んでいて分かったこと――ここでは敢えて、「包茎」に関することに限定して述べるけれども、それが、このサイトのトップに掲げた私のメッセージ、《「包茎」 は悪くない。自然のままがいい。でも不潔はダメ》なのである。「包茎」で悩んでいる男子あるいは大人に伝えたいことは、これに尽きる。
 若いうちは皆、ペニスは「包茎」なのだ。日々、マスターベーションをしたり、包皮を剥いてペニスを洗う、といったような習慣からいわゆる“剥きグセ”をつけることによって、自然と亀頭が露出するようにもなるし、“半剥け”状態になったりする。別段、それが何というわけではない。亀頭が被ったままでも問題はないのだ。ごくふつうに「清潔に保って」さえいれば。ただし、一部の人によっては、手で包皮が剥けなかったり、包皮の入口が狭い場合がある。その場合は、泌尿器科に相談するのがいいだろう。
 
 本来、命懸けで悩むことではない。「包茎」は――。
 けれど、思春期の頃というのは実に厄介なもので、必要以上にくよくよしたり、自意識過剰になって自分の「包茎」に絶望したりする人がいる。そんな無用な危機感から、クリニックの謳い文句に惑わされて「包茎」手術をしてしまう人が少なくないのだろう。ここに挙げた2つの本はその解決の手助けになるし、どうしても悩みが解決しないのであれば、美容整形外科クリニックに走る前に、各市町村の泌尿器科の病院で相談した方が、どれほどかまっとうである。
 最後にもう一度言う。「包茎」は命懸けで悩むことではない。

〈了〉

『新版 SEX & our BODY』

『マンガでわかるオトコの子の「性」思春期男子へ13のレッスン』

13のレッスンのLesson 2「だれにも言えないぼくたちの悩み」

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