オンラインで性の相談を

2020年7月05日

 
 10代の若者が何か悩み事があって、それを大人に真正直に相談するということは、かなり早い解決策につながるはずなのにもかかわらず、何故かそういう選択肢を敢えて捨ててしまっている傾向が、若者特有の思考にあるのではないか、と私は考えたりする。悩み事を大人に相談するなんて、そもそも面倒くさいし“ハードルが高い”と思いがちなのが、10代の若者の大多数の感覚ではないだろうか――。

性の悩みをクリニックに相談する

 ことのほか「性の悩み」を大人に打ち明けるのは、比較にならないほど“ハードルが高い”と思いがちだ。恥ずかしいし、もしかすると馬鹿にされてしまうかも、と思ってしまう。自分の殻に閉じこもるというのは、まさにそういうことなのだけれど、中学生ならもうあと5年、高校生ならあと2年もすれば、立派な成人の仲間入りとなるのだから、躊躇している暇はない。勇気を持って、その自分の小さな殻を打ち破って欲しい。
 
 東京都台東区にある上野皮フ科・婦人科クリニックhttp://www.uenoderma.jp/index.html)では、婦人科のユース外来(ユースとはYouth、若者の意。若者の外来)という形で、AYA世代(Adolescents and Young Adults)すなわち15歳から30代(思春期から若年成人の若者)の性の相談を、オンラインでも受け付けている。なんと1回500円のワンコインで、名字だけで構わず、保険証の提示も必要ないという。2020年6月27日付朝日新聞夕刊に「性の悩み相談 ワンコインで」という見出しで、このクリニックのユース外来及びオンライン相談のことが掲載された。
 
 同クリニックのホームページには、このユース外来「AYA Clinic」の窓口となるページ(http://www.uenoderma.jp/aya.html)がある。新聞記事によると、同クリニックの栗下昌弘医師は、病院勤務の傍ら、立教大学の兼任講師を2001年から14年まで務めていた経験があり、「性感染症と避妊」の特別講義をしていて学生らの、性感染症の怖さや予防の知識が不十分であることを知ったという。しかし、婦人科に診療に行くというのは若者にとって“ハードルが高い”ので、まずワンクッション置いて性の知識を身につけて欲しいと、「AYA Clinic」設置の理由を述べていた。ユース外来は当初、対面でおこなっていたらしいが、今年の5月末よりオンラインも始めたという。さらに記事によると、利用者の2割が10代で、8割が20代。生理のことや妊娠に関連した相談、セックスの悩みなどが寄せられているという。
 

上野皮フ科・婦人科クリニックのユース外来「AYA Clinic」
相談は毎週木曜15時~18時、何度でも利用可能
カップルや親と一緒に相談も可
水曜の20時までにメールで予約
名前(名字のみも可)、年齢、希望日時、相談内容を記入
ayaclinicinuenoderma@gmail.com

 

基本的な知識は保健の教科書で

 中学校と高校の保健の教科書を開いてみた。すると、成長期のからだの発達のことや生殖のこと、のこと、心の発達自己形成心の欲求不満ストレスについて触れられており、健康被害と予防という観点では、薬物のことや感染症(結核やインフルエンザなど)、性感染症についても学ぶ。
 
 性感染症においては、例えば「性器クラミジア感染症」とか「淋菌感染症」「性器ヘルペスウイルス感染症」「尖圭コンジローマ」「梅毒」が挙げられるが、中学用の学研「新中学保健体育」(平成28年発行)の教科書では、「性器クラミジア感染症の発生数」の厚労省の資料のグラフが掲載されていたりして、男女共20代で最も感染者が多いことが分かる。この教科書では、性感染症の予防には、コンドームが有効な手段であることが書かれている。
 
 同様にして高校の保健の教科書にも、当然ながら性感染症について触れられていて、コンドームが予防の有効な手段である旨の記述はほとんど変わりない。大修館書店の「最新高等保健体育」(平成29年発行)では、それ以外に、「避妊法と人工妊娠中絶」という項目があり、ここではコンドームと低用量ピルが避妊法として有効である旨が記されている。また別のページでは、産婦人科受診での「緊急避妊法」のことや、「膣外射精」は避妊法としては不確実である旨の記述もあり、教えられるべき点としてはそれなりに詳しい。
 
 こうした教科書を、卒業と同時に処分してしまうのはあまりにももったいないと思う。私がぜひ学生に薦めたいのは、中学や高校の保健の教科書を、ずっと捨てずにとっておいて、書棚の片隅に置いてほしいということだ。何かの折にそれを読み返すことは、きっと性の悩みの解決につながると思う。大人になってもこれらの知識は、随分と役に立つに違いない。

〈了〉

2020年6月27日付朝日新聞夕刊「性の悩み相談 ワンコインで」

中学の保健の授業で習う性感染症について

性器クラミジア感染症の発生数グラフ

高校の保健の授業では避妊についても学ぶ

避妊で効果的なのはコンドームの着用とピルの服用

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