セックスをする前に誰かに相談してみよう

2020年6月4日

 
 長期休暇の夏休みの期間に、若者の性のトラブルの件数が増えるのは、まあありがちなことだけれど、今般のコロナ禍による影響では、ほとんどの学校が長期休校となり、夏休みと同様、性のトラブルの相談件数が急増した――。なかには本当に妊娠してしまったというケースも。

学校休校で性交渉の機会が増えた?

 2020年6月2日付朝日新聞夕刊の記事「休校中『妊娠かも』10代の相談増」。5月下旬、関東の妊娠相談窓口に“妊娠しました”という女子高校生の相談。親からは中絶するよう求められたが、支援団体が仲介に入って話し合っていくという話…。
 NPO法人「ピルコン」https://pilcon.org/)へのメール相談は3月に98件、4月に97件とそれまでの月の倍に増えたという。具体的には、やはり妊娠避妊に関する相談が多く、実際に妊娠していた事例も複数あったらしい――。学校が長期休校となり、親の不在という状況下で、子ども達の学習関連以外の私的活動が拡がったためと考えられる。
 深刻な被害の報告では、レイプ家庭内での性虐待なども。それ以外のほとんどは、学校の友達との交際の延長線上で――と考えられるが、SNSを介して不特定多数の他者と交遊頻度が増え、そこでの性のトラブル増加ということも考えられるのだろうか。コロナ禍の様々なストレスや規制・自粛による精神不安によって、対人関係で羽目を外してしまう子どもや大人達が少なくないのだろう。
 具体的な実態は今のところ窺い知れない。が、例えば、SNSを通じて友達とこれまでにないほどの量の対話時間が増えたとなれば、ある一線を越えてくる関係性もあるだろう。すなわち性交渉に発展するケースである。これは、夏休みの場合とほぼ同じ事由であると思われるが、特に10代の若者の性交渉の機会が増えるとなると、自ずとトラブルの頻度も増す。「避妊に失敗し、妊娠してしまった」というケースが、全体として多くあるのも頷ける話である。
 

トラブルが起きたら大人に相談を

 何はともあれ、性交渉におけるトラブルを見過ごすわけにはいかない。自分達で解決できないことは、信頼できる大人に相談するのがいちばんだ。そうした若者が陥りがちな、性のトラブルの相談窓口がウェブ上にもある。ちなみに、このホームページ上のLINKSには、いくつかの相談窓口がリンクされているので、ぜひ活用してみてほしい。
 
 性のトラブルが急増する背景には、そもそも日本の学校事情における性教育の遅れの面もある。新聞記事で一つ指摘されていたのは、妊娠などのトラブルの相談に詳しいNPO法人「ピッコラーレ」https://piccolare.org/)がこの春に予定していた性教育の講演自体、軒並み中止になった――という話。同法人の松下清美理事「性教育が行き届いていないという以前からの問題がコロナウイルスによって表出している」と語っている。
 

性交渉の知識不足がコロナウイルスで浮き彫りに

 とは言え、そもそも10代の若者は、すべてにおいてまだ未熟であるからこそ公教育を受けるのだという当然のしくみがある。したがって、当事者である若者達の自己責任論で片付けていては、一向に解決しないどころか、問題の対処法を踏み誤ることにもなる。若者達だけが、必ずしも悪いということではないのだ。
 与えられた自由な時間の一部を、「自分快楽」のために費やそうという考え自体は、決して悪いことではない。妊娠したいと思ったわけじゃなく、愛という建前の快楽が欲しかったのだ。子どもであろうが大人であろうが、理性の抑制力に身悶えしながらも「自分快楽」というご褒美の選択肢に時折着手するのはむしろ人間的なことで、問題なのは、それが適切かどうか、適度かどうかであり、ある質量の一線を越えて、必要以上の「自分快楽」にうずまるのは、自由時間の無駄な浪費となりはしないか、場合によってはリスクが高まり、むしろ害悪となってしまう恐れがあるということを、10代のうちにある程度学んでおくことは、必要なことかも知れない。この人間的なさじ加減が実は、いちばん難しいのである。 

2020年6月2日付朝日新聞夕刊の記事

クリックすると拡大します。

 そう考えると、今般のコロナウイルス蔓延阻止の国家的処方箋として、「全国一律に学校休校を要請」してしまったのは、やはり、かなり無謀であったし無理があった――ということは、後々の専門家や教育者などによる検証及び考証議論で、表面化してくることだろうと思われる。
 そうした政治のことはともかくとして、学校の突然の長期休暇という未曾有の災難の際には事前に、性のトラブルを未然に防ぐ手立てを学校側が講じる必要がある。ひと言、子どもたちにメッセージを送ればいい。「休み期間中、何事も羽目を外すなよ。羽目を外したら、必ずブーメランは自分に戻ってくる。自分の首を狙って戻ってくるんだ。用心しろ」と。場合によっては、家庭でそれを促すことも大事である。
 

 石橋をたたいて渡ろう。躊躇せずに相談を

 早い話、必要なのはこの場合、正しい性交渉の知識である。少なくとも、避妊のための備えはお互いにしておこう。同意がなければセックスはしない。
 コロナ時代においては、ソーシャル・ディスタンシングがまず優先され、性交渉のパートナーはかなり限定されるべきだ(「【コロナ情報】コロナ時代のセックスはどうすればいい?」参照)。しかし、コロナ時代に限らず、私生活において性交渉のハードルを緩めてよいかどうかの判断基準を、自己判断だけで済まさず、まず親しい友人や、信頼できる大人に相談して委ねてみる方が、賢明ではないだろうか。
 シンプルな発想として持つべきなのは、石橋をたたいて渡れ。あらゆる性交渉セックス、あるいは妊娠などに付随する行動については、自分個人で勝手に判断するべきものではないということ。必ず誰かに相談しながら(むろんパートナーを含めて)最善の形でおこなうべきものだ、ということを認識したい。何故なら、10代ならまだ、未熟であるから。いっぱしの社会人として渡り歩くには、まだちょっと早すぎるから――。
 
 間違ってもこれは、未成年者はセックスを絶対するな、という話ではない。愛という名の「自分快楽」の機会を奪う権利など、誰にもないのだから。ただし、こういうことなのである。学校休校で自由な時間が増えた。友達との遊びの機会も増えた。それからさらに、性交渉に発展する可能性がある場合には、事前に誰かに相談してほしいのである。相談なくして、性交渉に臨むべきではないということを、学校や保護者は、子ども達にしっかり伝えなければならないのだと、私は思う。
 
 束の間の遊びのつもりでも、対処法を知らなければ、リスクを回避することは、残念ながらできない。自分の行動の地図を描くこと。目先のファンタジーに流されず、まずしっかり自分の地図を見きわめてから、前へ進もう。

〈了〉