アメリカでは同性婚の権利が認められた
12月13日、アメリカで同性婚の権利を保障する法案に、バイデン大統領が署名し、法案が成立。ピュー・リサーチ・センターの世論調査では、およそ6割のアメリカ人が同性婚に賛成。2022年12月15日付朝日新聞朝刊「10年で変わった 同性婚への視線」では、近年のアメリカにおける同性婚受容に関する世論の動向と、大統領の意向の変化についてふれられていた。記事の内容を要約してまとめておく。
同性婚への社会的な変化
1996年、アメリカ議会の異性間のみの結婚を定める「結婚防衛法」(Defense of Marriage Act)の審議では、上院議員だったバイデン氏は、法案に賛成だった。この法案は多数の支持で可決され、クリントン大統領の署名によって成立。
2004年、マサチューセッツ州で同性婚が容認された時には、ピュー・リサーチ・センターの世論調査では同性婚に賛成が3割で、6割が反対だった。
その後、若者の世代から同性婚支持が広がり、11年に支持と反対が逆転。12年にはバイデン氏は同性婚を支持する立場を明言。オバマ大統領もこれに続く。
13年、「結婚防衛法」を連邦最高裁が違憲と判断。15年には全ての州で同性婚を認めるべきだとした。
19年の世論調査では、ついに同性婚支持が6割となり、反対3割。2004年の調査結果の逆を示したことになる。
同性婚反対が少数派に
こうした記事は、アメリカ国民の世論が、この30年で同性婚支持へと変移していったことについて伝えている。
LGBTQの権利にかかるNPO「ラムダ・リーガル」のジェニファー・パイザーさんはこう述べている。「同性婚に反対する人たちは、『家族制度の崩壊につながる』『子どもが危険にさらされる』と主張した。しかし、実際に同性婚が実現すると、その主張がいかに荒唐無稽かが示された」――。
アメリカでは、同性婚に反対する政治家が減ったことも、支持が増えた要因として大きいという。共和党も現在では、同性婚の権利を認めつつも、宗教上のシンパサイザー(共鳴者、支持者)において積極的にかかわらない権利を主張する立場の人が多いという。
ただし、かつて心情的に、同性婚反対=社会的な脅威となっていた言動の類似性は、今や、トランスジェンダーの人たちに向けられ、性的少数派を嫌う社会的な脅威の矛先となっているとも。パイザーさんは「同じような動きが、対象を変えて続いている」と分析し、懸念すると伝える。