の話。
寝た子を起こせ。これは一生に関わる大事なことなんだから。

つらい月経を救うピルの話

2020年4月18日

 月経がつらい人は、医師に「低用量ピル」を処方してもらうとよいというシンプルな話――。
 「低用量ピル」というと日本の一般では、経口避妊薬(OC)として広く知られている。けれども欧米では、月経不順の安定化や月経痛を抑えるために「低用量ピル」LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)を飲むということでも知られており、排卵を止めて避妊する効果がある薬の、そうした副産物的な効用について、日本ではまださほど周知されておらず、使用も浸透していないようだ。

子宮内膜症の改善に「低用量ピル」

 2020年4月15日付朝日新聞朝刊の「月経のつらさに低用量ピル」の記事では、「低用量ピル」(LEP)子宮内膜症の抑制にも効果があるとして、月経不順月経痛を改善する旨の内容が記されていた。またその場合の新しい投与法が、公的医療保険の対象にもなっている旨が記されている。
 ところで月経には、その周期があることや、悩ましい月経痛、その他の鬱陶しく感じる体調不全があることについて男性陣はピンとこないであろう。月経周期に関しては、当サイトの「『月経周期』というリテラシー」を読んでいただけると有り難い。「低用量ピル」が避妊に効果があることに関しては、「コンドームは避妊の王様?」を読んでいただければと思う。さらに避妊のリプロダクティブ・ヘルス/ライツの観点での「低用量ピル」の在り方については、「女性が自分の意思で避妊法を選ぶということ」を参照していただけると尚有り難い。
 
 新聞記事の話に戻る。
 むろん、ここでは避妊の話ではなく、LEPとしての「低用量ピル」について言及している。ちなみに、月経不順やひどい月経痛などで処方されるLEPも、避妊のために処方される経口避妊薬(OC)でも、同じ「低用量ピル」であり、成分的には変わりないのだという(※避妊としての処方の場合は原則、保険適用外)。そうしたことを踏まえて、記事の内容を要約していこう。
 
 まず、静岡に住む31歳の女性の経験談がそこに記されていた。20代の頃に月経痛がひどく、婦人科を受診。「子宮内膜症」と診断された(卵巣などに子宮内膜と似た組織ができて炎症や癒着を起こす)。「子宮内膜症」は不妊やがんのリスクがあるため、医師にLEPの使用を勧められた。
 LEPは、2つのホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)を安定的に取り入れる薬であり、1日1錠ずつ毎日服用する。LEPによって体外から取り入れられる2つのホルモンの効果から、脳が勘違いして排卵が止まる。月経直後から子宮内膜の増殖を抑える黄体ホルモンが作用するので、子宮内膜が厚くならず、出血量や子宮収縮の痛みも減る。またLEPは、ホルモンをバランスよく取り入れるので、胸・腹部の張りやむくみといった月経前症候群を抑える効果がある。この女性の場合、使い始めて2年ほどで、「子宮内膜症」の病巣が目立たなくなったという。妊娠を望んだ際には服用をいったん停止し、排卵が戻って妊娠・出産をしたということ。
 
 新聞記事内の「服薬周期のばす新しい投与法」によると、LEPは使い始めてしばらくは、不正出血吐き気などがあるものの、体が慣れてきておさまることが多いのだという。LEPが使えない人は、

・妊娠を希望する人
・血栓症になりやすい人
・乳がんや子宮がんの人
・35歳以上で1日15本以上たばこを吸う人、など。

 LEPの使用法は、月経の平均周期に合わせた28日を1周期にする「周期投与」で、21日間ないし24日間1日1錠ずつ、毎日同じ時間に服用する。残りの7日間又は4日間は薬を飲まず出血させる。薬を飲まないでいる期間につらい症状が出る人もいるので、欧米では3~4ヵ月毎に休薬のインターバルをおく「延長周期投与」法、あるいは休薬期間をおかないで飲み続ける「連続投与」法の方が主流だそうだ。
 こうしたことから、日本でも、120日間飲み続けて4日間休薬する「ヤーズフレックス」77日間飲み続けて7日間休薬する「ジェミーナ」が、服薬周期を延ばす新しい投与法として公的医療保険の適用となった。

2020年4月15日付朝日新聞朝刊より「月経のつらさに低用量ピル」

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 つらい月経の対処法を正しく理解しよう

 月経の様々なことについては、河野美代子著『新版 SEX & our BODY 10代の性とからだの常識』(NHK出版)が親切でとても詳しい。この本を参考にしてまとめておくと、以下の症状がある場合は、「子宮内膜症」もしくは子宮筋腫の可能性があるという。

・月経中に何日も薬が必要になる
・年々痛みが強くなる
・月経の前後に下腹部の痛みがある、また排便痛や腰痛がある
・セックスの途中や終わった後で痛みがある
・貧血がひどい

 もし、これらがいくつか当てはまる人は、産婦人科に相談してみた方がよさそうだ。
 月経の不順月経周期が1週間以上ずれていたり、経血の量が多い、逆に量が少ない、月経自体が無いなど)は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌が安定していない10代では当たり前だそうで、10代のそうしたほとんどの月経不順は心配いらない。
 月経痛がひどい場合は鎮痛剤を服用し、それで治る人は月経痛の対処法として「ビリグの体操」をこの本では推奨している。鎮痛剤を飲んでも治らない人は、先の「子宮内膜症」子宮筋腫が疑われるので、医師に相談した方がいい。この場合、「低用量ピル」の服用を勧められることがある。

基礎体温表は必須! 躊躇なく産婦人科へ相談に

 基本的にはやはり、初経をむかえたら、自分で体温を測り、基礎体温表を毎日付けるようにしたい。基礎体温表を付けるには、女性用の体温計(基礎体温計)が必要。基礎体温表は、例えば生理痛などの鎮痛剤のメーカーのウェブサイトで無料ダウンロードでき、プリントアウトして使える。ネットで調べると、基礎体温表を無料でダウンロードできるサイトは容易に見つかるだろう。ぜひ検索してみてほしい。
 参考までに、鎮痛剤のメーカーで知られるエスエス製薬のウェブサイトでも、基礎体温表ダウンロードできるので参照したい方はこちら。

 正しい方法で毎日基礎体温を測り、自分の月経周期などをチェックすることは、特に10代と20代は必須と思っておいた方がいい。月経痛がひどかったり、何かしら不安を感じたら、ひとまず保護者保健の先生に相談してみるのがいいだろう。
 それからもう一つ、産婦人科に診てもらうことは、決して大袈裟なことではなく、女性なら誰でも当たり前のことなので、あまり怖がったり億劫がったり深刻に悩まずに、平易な気持ちで相談した方が、悩みの解決が早い。こうした時の専門医の助言は、健康で生活するための賢明な手段なのである。

〈了〉